花粉症と賢くつきあうために、花粉の正体を調べてみましょう。

花には花粉があるので、花粉そのものはどこででも見ることができます。花粉は粉末状に見えますが、1個1個は細胞です。スギ花粉はスギの雄花がだすものです。この花粉は雌花に届けられなければなりません。そのとき、花粉の届け役を風に託します。このように雄花から雌花への花粉の媒介を風に任せる植物を「風媒花」と呼びます。スギの雄花が放出した花粉を雌花が受け取ると、[受粉]が成立します。

ところが、花粉は大量につくられます。しかも、広範囲に四方八方に移動する風に乗って20~30キロメートルも飛ぶものですから、雌花だけではなく人間もその花粉を吸ってしまうのです。こうして花粉症が発症します。 

現在、日本人の花粉症の多くはスギ花粉が原因で起こります。しかし患者さんの数は少なくても、約60種類の植物の花粉による花粉症が起こっているとの報告があります。スギ花粉以外では、ヒノキ、イネ科の植物であるカモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどが比較的よく知られています。

花粉症の特徴は、その植物の花粉が飛んでいる時期だけに症状が現れることで、季節性アレルギー疾患と呼ばれます。スギやヒノキは春、カモガヤは夏、ブタクサやヨモギは秋に花粉が飛びます。そして、スギ・ヒノキ花粉に次いで、今後はイネ科(カモガヤなど)の花粉による花粉症の増加が予想されています。

特にアレルギー体質の人は、スギ花粉の飛ぶ時期が終わってホッとしたのも束の間、また別の花粉症に苦しめられるというケースが増えるかもしれません。 

Th1細胞とTh2細胞は、お互いの働きを抑制し合っています。ここらか一方がでしゃばりすぎないようにして、バランスを保ってくのですね。

ところが、そのバランスが崩れることがあります。 Th2細胞はB細胞を働かせるサイトカインをつくると説明しましたが、B細胞の仕事は抗体をつくることです。抗体には、アレルギー発症の立役者であるIgEも含まれます。

単純に言い換えれば、Th1細胞とTh2細胞の勢力のバランスが崩れて、Th2細胞が優勢になれば、IgE抗体がつくられやすくなる、つまりアレルギーが起こりやすくなります。

日本でアレルギーにかかる人がどんどん増えてきたのは、私かちの生活環境が大きく関係していて、その環境下ではTh2細胞が優勢になるのだろうといケ考え方があります。

私たちの生活環境は大変清潔になりましたっ トイレはすっかり水洗化され、台所用洗剤は高い除菌率を誇り、そこらじゅう抗菌グッズがあふれています。子供たちは殺菌率のすぐれた石けんで手を洗い、清潔な手で抗菌ボールペンをもちます。

そうなると、細菌防御の役目をもつTh1細胞の出番があまりなくなってしまい、Th2細胞が勢いづいてしまいます。そして、Th2細胞優勢の状態が続くことで、1gE抗体がつくられやすくなり、簡単にアレルギーを発症してしまうのではないかと考えられているのです。

私たちは免疫システムがなければ、1[1も生きてはいられません。アレルギーは免疫システムが過剰に反応することで起こります。アレルギーに苦しむ人が増えたということは、免疫システムが過剰に反応せざるをえない環境に、私たちが生活しているということです。

アレルギーをとおして、私たちが生きている環境の是非が問われているのかもしれません。